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抄録 2016年度 卒業論文 | 筑波大学 情報学群 | 知識情報・図書館学類

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Academic year: 2018

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本論文では、明治期の女性向け雑誌『女学世界』の掲載記事と読者投稿欄の分析を行った。 明治時代には「高等女学校令」が定められたことで女性の識字率が向上し、女学生という 新しい読者層が誕生した。それに伴って女性向け雑誌が創刊されるなか、『女学世界』は 1901 (明治 34)年に博文館から発行された。毎月発行された同誌は幅広い年齢層の女性を読者 とし、一時は博文館の主力雑誌として大部数が発行されたと伝えられるなど、当時多くの女 性に親しまれていたことが窺える。創刊の目的には「良妻賢母」の育成が掲げられ、初期の 記事は論説文などの啓蒙色の濃いものが中心だった。やがて編集方針の変更により徐々に 体験談や日記文、小説などの読物や家政に関する実用記事が増えて啓蒙色が薄まっていき、 後期には女学生を読者としてより強く意識した文芸誌に転向していくとされている。1925 年(大正 14)年には他誌との統合を名目に実質的な廃刊を迎える。

これまで『女学世界』を使用して当時の女性を研究したものは数あるが、『女学世界』そ のものを対象とした研究は少ない。同誌の発展のなかでも、本研究が対象とする明治末期は、 これまで編集方針の変更が質的低下を招いた時期とされてきたが、実際には発行部数が増 加していたことが近年指摘された。本研究では、このような同誌の「中期」について、(1) 当 時どのような記事を掲載し、(2)読者はどのような人たちで雑誌のどこに興味を持っていた のかを明らかにすること目的としている。

掲載記事については、数量的な分析と記事を読むことでその傾向を探った。執筆者やその 執筆回数を集計し、また記事のタイトル中で使用された語彙の分析を行った。後者は「婦人」、 「妻」、「女学生」、「乙女」などの女性を指す言葉、「料理」、「化粧」、「裁縫」、「家事」など 女性の生活活動を指す言葉を網羅的に抽出してその傾向を分析したものである。こうした 数量的な分析の上でこれらの言葉をタイトル中に持つ記事の内容の傾向を読み取っている。

読者については、読者投稿欄を使用してそこに記載された投稿者の属性(性別、地域、職 業など)の集計を行った上で、投稿文の内容から読者の生活ぶりや興味の対象を探っている。

これらの結果から、この時期の『女学世界』は中流家庭以上の女学校を卒業した女性や若 い主婦が主な読者であり、それらの女性を対象とした誌面作りが行われていた。なお、この 時期の女性論としては、「良妻賢母主義」を中心とした教育から、徐々に男子と同じ「学問」 をするべきという主張に変わっていき、大正元年には女性の解放が話題になっている。一方、 読者投稿欄の分析からは、若い女性を中心とした読者の興味の中心は、読者同士の交流のほ か、読者から出た人気の投稿者による小説など娯楽的な読物、海外についての情報にあった ように見受けられる。読者層と興味関心に合わせて誌面構成を変更し、それらの記事を増や していったことや、増刊号でも読者投稿記事を中心に扱うようにしたことが、この時期発行 部数を伸ばした要因となったと考えられる。

(指導教員 原 淳之)

明治末期における『女学世界』と読者

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